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サンプリング方法の種類とオンライン調査のサンプルサイズ決定ガイド

定量調査、特にオンライン調査でのアンケート実施において、「誰に」「何人」聞けば信頼できる結果が得られるのか悩んだ経験はありませんか?また、サンプリング方法の種類や、調査対象者をどのように選ぶかは、定量調査の質を決定づける重要なプロセスです。

適切なサンプリング方法が選択されなければ、どんなに優れた調査票を設計しても、得られたデータから正しい結論を導き出すことは困難になります^33。さらに、手軽さから利用が増えているオンライン調査では、特有の注意点も存在します。

本記事では、定量調査におけるサンプリング方法の基本から、オンライン調査で気をつけるべきポイント、そして適切なサンプルサイズの考え方まで、わかりやすく解説していきます。ぜひ、今後のリサーチ活動にお役立てください!

定量調査におけるサンプリングとは?

定量調査は、ある集団(母集団)全体の傾向や意見を数値データに基づいて把握することを目的としています^22。しかし、例えば「日本の20代女性」全員にアンケートを取ることは現実的ではありません。

そこで、母集団の中から一部の人を選び出し(標本、サンプル)、その人たちを調査することで、母集団全体の傾向を推測します。この「母集団から標本(サンプル)を選び出すプロセス」がサンプリング(標本抽出)です。

サンプリングの最大の目的は、選ばれた標本が母集団の特性をできるだけ正確に反映している(代表性がある)状態にすることです。標本に偏りがあると、調査結果も偏ってしまい、母集団全体に当てはめることができなくなってしまいます^33

サンプリング方法の種類と特徴

サンプリング方法の種類は、大きく「確率抽出法」と「非確率抽出法」の2つに分けられます^32

確率抽出法 (Probability Sampling)

確率抽出法は、母集団のすべての構成要素が、標本として選ばれる確率が等しくなるように抽出する方法です。統計学的な推測が可能で、結果の一般化に適しています。
種類 説明 メリット デメリット
単純無作為抽出 母集団リストから完全にランダムに抽出(例:乱数表、くじ引き)^34 最も基本的な方法、偏りが少ない 母集団リストが必要、手間がかかる
系統抽出 母集団リストから等間隔で抽出(例:100人ごとに抽出) 簡単で効率的 リストの並びに周期性があると偏る
層化抽出 母集団を属性(性別、年齢層など)でグループ分けし、各層から無作為抽出 各層の代表性を確保できる 層別情報が必要、複雑になる
クラスター抽出 母集団を小集団(クラスター、例:地域、学校)に分け、クラスターを無作為抽出し、その中から全数または無作為抽出 コストや手間を削減できる クラスター間の差が大きいと偏る

非確率抽出法 (Non-probability Sampling)

非確率抽出法は、調査者が意図的に、あるいは便宜的に標本を選ぶ方法です。確率抽出法に比べて手間やコストがかからないことが多いですが、標本に偏りが生じやすく、結果の一般化には注意が必要です。オンライン調査では、モニターパネルからの募集など、非確率抽出法が用いられるケースが多く見られます^27
種類 説明 メリット デメリット
便宜抽出 調査協力が得やすい人を対象に抽出(例:街頭インタビュー、知人への依頼) 手軽で迅速 偏りが非常に大きい
割り当て抽出 母集団の属性構成比に合わせて、各属性の人数を割り当てて抽出 属性構成比を母集団に近づけられる 属性内での選択は恣意的になりがち
判断抽出 調査者が専門的な知識や経験に基づいて、代表的と思われる対象者を選択 特定の知見を持つ人を選べる 調査者の主観が入りやすい
スノーボール抽出 紹介を通じて次の調査対象者を見つけていく(例:希少疾患の患者調査) 特定の集団を見つけやすい 偏りが生じやすい、時間がかかる
オンライン調査では、調査会社が保有する大規模なモニターパネルから、年齢・性別・居住地などの属性を指定して回答者を募集することが一般的です。これは多くの場合、割り当て抽出に近い形で行われます^27。手軽に多くのサンプルを集められる反面、パネル登録者の特性(例:インターネット利用頻度が高い、懸賞好きなど)による偏りには注意が必要です。

適切なサンプルサイズの決め方

「調査に何人くらい協力してもらえばいいの?」これは、定量調査を計画する上で必ず出てくる疑問ですよね。サンプルサイズ(n)は、調査結果の信頼性を左右する重要な要素です。

サンプルサイズと誤差の関係

サンプルサイズが小さいと、調査結果の誤差が大きくなります。その結果、母集団の傾向を正確に反映しているとは言えなくなります。逆に、サンプルサイズを大きくすれば誤差は小さくなりますが、調査コストや時間は増加します。

一般的に、許容できる誤差の範囲(許容誤差)と結果の信頼度(信頼水準)を設定し、それに基づいて必要なサンプルサイズを計算します。

よく用いられるのは、信頼水準95%、許容誤差5%という基準です。この基準で計算すると、母集団の規模に関わらず(数万人以上であれば)、約400サンプルあれば、統計的にある程度信頼できる結果が得られるとされています^31

分析軸を考慮したサンプルサイズ設計

ただし、重要な注意点があります。それは、調査結果をどのような切り口(分析軸)で分析したいかを事前に考慮することです。

例えば、全体で400サンプルを集めても、「20代男性」「30代男性」…といった性年代別で比較分析したい場合、各セグメントのサンプル数が少なすぎると、そのセグメントの結果の信頼性が低くなってしまいます^31

分析したい最小単位のセグメントでも、ある程度のサンプル数(例えば、最低でも30~50サンプル、できれば100サンプル程度)を確保できるように、全体のサンプルサイズを設計する必要があります。

サンプルサイズ決定の現実的なアプローチ

理論的な計算も重要ですが、実際には予算や調査期間との兼ね合いでサンプルサイズが決まることも多いでしょう。
  • 調査目的の明確化: 何を知りたいのか、どの程度の精度が必要なのかを明確にする。
  • 分析計画: どのような属性やグループで比較分析したいかを具体的にする。
  • 予算と期間: 現実的に確保できるコストと時間を確認する。
  • 過去の調査や類似調査の参照: 業界の慣例や過去の事例を参考にする。
これらの要素を総合的に判断し、バランスの取れたサンプルサイズを決定することが重要です。

オンライン調査におけるサンプリングの注意点

手軽でスピーディーなオンライン調査ですが、サンプリング方法の選択においては特有の注意点があります。

1. パネルの質と偏り

オンライン調査の多くは、調査会社が抱えるモニターパネルを利用します。しかし、パネル登録者は一般的な消費者と比べて特定の傾向(例:インターネットリテラシーが高い、新しいもの好き、懸賞応募に積極的など)を持つ可能性があります^27。また、同一人物が複数のアカウントで登録していたり、不誠実な回答をする人が含まれていたりするリスクもゼロではありません^28

対策:
  • 信頼できるパネルを持つ調査会社を選ぶ。
  • スクリーニング調査(本調査の対象条件に合致するかを確認する事前調査)を適切に設計し、対象者を絞り込む。
  • 調査会社がどのような品質管理(例:重複登録のチェック、不正回答者の除外)を行っているか確認する。

2. 回答の質(Satisficing – サティスファイシング)

オンラインアンケートでは、回答者が深く考えずに、手早く回答を終えようとする「Satisficing(サティスファイシング:満足化行動)」が見られることがあります^29。例えば、質問文をよく読まずに回答したり、すべての選択肢で同じ回答を選んだり(Straight-lining)するケースです。

対策:
  • 質問文は簡潔で分かりやすくする^29
  • アンケートの所要時間を適切に保つ(長すぎると離脱や不誠実な回答が増える)^28
  • 矛盾する回答がないかチェックする設問(整合性チェック)や、注意深く読んでいるかを確認する設問(Instructional Manipulation Check: IMC)を適度に含める。
  • 回答時間があまりにも短い回答や、直線的な回答パターンを示すデータは、分析前に除外する(データクリーニング)^27

3. インターネット非利用者層の除外

当然ながら、オンライン調査はインターネットを利用している人しか対象にできません。そのため、高齢者層など、インターネット利用率が低い層の意見を十分に反映できない可能性があります^26。調査対象や目的に応じて、郵送調査や電話調査など、他の調査手法との組み合わせも検討する必要があります。

4. マルチデバイス対応

スマートフォンからの回答者が増えているため、アンケート画面がスマートフォン表示に最適化されているかどうかも重要です^26。PCでしか回答しにくいような複雑な質問形式は避けるべきでしょう。

これらの注意点を踏まえ、オンライン調査のメリットを活かしつつ、デメリットを最小限に抑える工夫が求められます。近年では、AI技術を活用して調査票作成を支援したり、回答データの品質チェックを自動化したりするソリューションも登場しています。例えば、Minediaでは、AIを活用した調査ソリューションを提供しており、調査設計からデータ分析、レポーティングまでを効率化し、より質の高いインサイト獲得を支援しています。

まとめ

定量調査におけるサンプリング方法の種類と適切な選択は、調査結果の信頼性を担保するための根幹となるプロセスです。
  • サンプリングの基本: 母集団から代表性のある標本を選ぶことが重要。
  • サンプリング方法の種類: 目的や状況に応じて確率抽出法と非確率抽出法を使い分ける。オンライン調査では非確率抽出法(割り当て抽出など)が多いが、パネルの偏りに注意。
  • サンプルサイズ: 許容誤差と信頼水準、そして分析軸を考慮して決定する。一般的な目安は400サンプルだが、分析したい最小セグメントのサンプル数も確保する。
  • オンライン調査の注意点: パネルの質、回答の質(Satisficing)、インターネット非利用者層の除外、マルチデバイス対応に留意し、適切な対策(スクリーニング、データクリーニングなど)を講じる。
適切なサンプリング方法の種類を理解し、オンライン調査特有の注意点を把握することで、より信頼性の高い定量調査を実施し、ビジネスに役立つインサイトを得ることができます。もし、リサーチの設計やサンプリング、データ分析についてお困りのことがあれば、Minediaまでお気軽にお問い合わせください。

参考文献

[1]. 調査研究における サンプリング の重要性 – エナゴ学術英語アカデミー. (https://www.enago.jp/academy/importance-of-sampling-methods/)

[2]. 定量調査の特徴と手法:定性調査との違いや使い分けも徹底解説 … – ネオマーケティング. (https://corp.neo-m.jp/column/marketing-research_074/)

[3]. 定量的研究。定量調査とは何か、ヒントと例 | QuestionPro. (https://www.questionpro.com/blog/ja/%E5%AE%9A%E9%87%8F%E7%9A%84%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%80%82%E5%AE%9A%E9%87%8F%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B%E3%80%81%E3%83%92%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%A8%E4%BE%8B-2/)

[4]. 調査のサンプリングの基本『無作為抽出』って何? | マーケティング … – Lactivator. (https://lactivator.net/2020/10/06/random_sampling/)

[5]. Web調査(インターネット調査)とは?実施方法や注意点、費用について紹介 – 【公式】 アスマーク. (https://www.asmarq.co.jp/column/column-cat/how_to/web_survey/)

[6]. サンプル数の決め方|アンケートで信頼できる回答数とは? | 24時間 … – Freeasy. (https://freeasy24.research-plus.net/blog/c14)

[7]. アンケート調査票の作り方と設問設計のコツ、作成における注意点 … – マクロミル. (https://www.macromill.com/service/column/entry-054/)

[8]. 学術調査の方法や進め方とは?ネットリサーチで実施するメリット … – NTTコム オンライン. (https://www.nttcoms.com/service/nps/column/academic-research/)

[9]. ネットリサーチとは?メリットや注意点、進め方、レポート事例を … – ferret. (https://ferret-plus.com/68573)

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